未来−tomorrow−



「あっ、ああ、はあ、はぁっ、あああっ」
日頃の彼からは想像もできない甘い喘ぎ。
思い切り脚を開かせ、身体を折り曲げたきつい体勢でその中心を貫く。
切なげに眉をひそめ、喘ぐその綺麗な顔を見ていたいから。
ずっと憧れてた。
偶然か必然か、思いもよらぬ成り行きでこういう仲になってからも、どこか掴みきれないもどかしさに、長い間苛立っていた。

 でも。
 今は。
 
「コウ、呼んで。オレの名前」
「…ぁ、カ、スミ、香澄っ」
「良い?」
「いい…、ああ、や、そんなこと、ああっ」
 
思い切り突き上げながら拡げられた部分を触ると、恥ずかしがって身体を捩った。
この人のこんな姿、誰も信じそうもない。
オレを受け入れて、気持ちいいって。
いやらしいこと言って。悦んで。
 
オレだって、信じられなかった。
初めての時はひたすらびっくりだったし、その後もなんだかずっと違和感を感じてた。
これが、本当の黒羽コウなんだろうかって。
 
初めの頃は、もっとすごかった。
恥ずかしがってるのはオレばっかりで、コウはオレがたまげて固まっちゃうようなことも色々してくれた。
全然ためらいもせず。
 
でも今はちょっと違う。
 
こうやって向き合っていると、コウは目を開けようとしない。
きつく瞳を閉じて横を向いている。
感じてるのは解るけど、でもオレはコウの瞳が見たかった。
「こっち見て、コウ、オレを見て」
頬を挟んでこっちを向かせる。
「や、だ…。よせよ…香澄…。このまま、あぁっ」
唇で、閉じた瞼にキスをする。
「このまま、イキたい?」
コウは唇を噛んで、小さく頷く。
オレはコウのあれを握って先端を撫でた。ぬるぬるのそこ。
コウの中にあるオレのも、ぬるぬるだよ。
男だって、ここだけは濡れるもんな。

たまんない。

「香澄…あぁ…」
微かに漏れる声に、コウの中にあるオレ自身が、ぐん、と巨きくなる。
コウのそこが、オレのモノをきゅうっと締めつける。
吸い付いてくるような、なんとも言えないその感覚。
「コウ、すごく、いいよ。最高」
恥ずかしがって腕で顔を覆うコウ。
前は絶対見られなかった仕草。
すっごく、そそられる。すっごくいいよ。

 大好きだ。
 ずっと、好きだった。
 でも、今が一番。
 一番好きだよ。
 
達ってよ。コウ。
あんたがイく時の顔、オレに見せて。
色っぽくて、ほんの少し苦しそうで、ため息が出そうな…
オレだけに見せる、一番イイ時の顔。
 
オレの下で、コウの背が反る。
声をこらえるように口に腕を当てて、喉を鳴らして、オレの手の中に快楽の証を吐き出す。
綺麗だよ、コウ。
すごく、すごく、綺麗だ。
細い腰。上気した白い肌。
汗に濡れた身体も、頬に張り付いた髪も。
そんな姿を見るだけで、オレってイけそう。

何回も何回もあんたの中に出した。身体を繋げて、「愛の営み」ってやつを繰り返した。
言っていいよな。
これは、愛してるって意味だって。
あんたも、そう思ってくれているって。
今は、もう本当に、そう思っていいんだって。

「香澄…」
震えながらしがみつく、その身体にキスを繰り返す。
コウの中に、オレ自身を刻みつける。
押さえきれずに唇から漏れる快楽の声だけが、二人の言葉だ。
ねえ。
身体も判ってくれるのかな。
オレのが、あんたの中で、オレの気持ちを伝えてくれる?
受け入れて、受け止めて。
オレの気持ち。

あんたを愛してる、コウ。
 
ずっと、愛してる…。
 

fin