地獄より熱く、愛より甘く

scene1

  「気持ちいい? コウ、言ってごらん。気持ちよくって堪んないって」
「あ…、う、ぅんんっ」
「言わないと、やめるよ」
「ああ、や、やめないで。悦い。気持ちいいよっ。あっ、ああっ」
「エッチだね、コウ。こんなことされて気持ちいいんだ。厭らしい子だ」
「いい…ああぁっ」
「ほら、もっと脚を開いて。自分で動いてごらん。もっと気持ちいいよ。いいところを探して…。そう。ホントにえっちな子だね」

そうなんだろうか。
恥ずかしい。
涼一に厭らしい子だなんて言われて。
男同士で、こんなことしたいなんて、それで、嬉しいなんて、僕はやっぱり普通じゃない。
そういうのもあるっていうことは、知ってる。
ホモ。
ゲイ。
オカマ。
僕が、そうだってこと。
涼一はどうなんだろう。涼一もゲイなんだろうか。
とても信じられない。そんな事。

でも。
涼一が好きだ。
僕は涼一が好きだ。

涼一も、そう言ってくれた。
涼一も、僕を好きだって。それは弟とか、友達じゃなくて、恋人として好きだって思って良いんだろうか。
そうだよね、涼一。
だって、僕は今、涼一とセックスしてる。
躰の中に、涼一のを入れて、涼一に僕のを触ってもらって。
痛いけど、変な気分だ。
躰の奥の方で涼一のが動くたび、痛みだけじゃない感覚が走る。涼一が握ってる僕のそこが、びくびく動く。
涼一が好きだから、恥ずかしいけど嬉しい。
そうか。
これがセックスするってことなんだ。
ずっと、わからなかった。
セックスは、女の子とするものだと思ってた。男同士でするなんて、いけないことだと。
でも、涼一がいいっていうなら、そんなにいけない事じゃないのかもしれない。
きっと、そうだ。

「厭らしいなあ。コウのここ」
そう言いながら涼一は自分のが入ってる僕のそこをいじり回す。
痛いのに、恥ずかしくてたまらないのに、触られるとゾクゾクする。
「こんなに開いちゃって。ふふ。とても初めてとは思えないよね。コウは綺麗だから、他にも男がいたんじゃないのか?」
「そんなっ、あぅっ」
思わず起きあがりかけて、ひきつれる痛みに悲鳴が上がる。
「嘘だよ。ちゃんとわかってる。コウはオレが好きなんだよね。好きだから、こんな事させるんだってこと」

涼一の唇が降りてくる。
キス。
優しいキス。
僕の下半身にしてる激しい行為とは全然釣り合わない、優しい顔、優しい声。
「かわいいね。コウ。綺麗で(従順で)かわいい、オレのいいこ(玩具)。大好きだよ」

よくわからない。
もう、考えていられない。
気持ちが、バラバラになる。

「もっと声を出して」
「いい…、ああっ、りょう、いちっ」
身体の奥にある熱い固まりを感じながら、何度目かを涼一の手に放つ。
すごく、いい。
多分、これはそういう感じなんだと思う。
これが、セックスってものなんだ。
痛いけど、気持ちいい。
涼一の優しい声が耳元で囁く。
「大丈夫。痛いのは、じき慣れるよ。全部良くなるから。良くしてあげる。コウ。痛いことも、恥ずかしいことも、きっと好くなるよ」

そうなんだろうか。
きっと、そうなんだろう。
涼一がそう言うんだから。
 
きっと。
 

END