Sugar White Day おまけ
「いやー、昨日は西署から女の子がドサドサ出ていってびっくりしたよ。あれ全部黒羽の追っかけか。すごいな」
どうやら出ていくところだけを見たらしい高田が、翌日、黒羽ではなく何故か白鳥にそう話しかけてきた。
本人に直接言えよ、と思いつつ、白鳥は椅子を回転させて高田の方をふり向いた。
「来たのは一般市民のみなさんです。防犯講義とかをやったんだよ。おまけ付きだけどね」
「どっちがオマケやら」
「いいじゃん。ただ講演しますよって言って、300人も人集まるかよ」
「まあそうだけど…」
「大体どうして高田さんが、ホワイトデーのお返し行事、知らなかったのさ。オレは新米だけど、高田さんは西署、長いんだろ?」
「オレは二年前まで少年課にいたんだよ。黒羽のバレンタイン騒ぎは知ってても、お返しまで知るかよ」
「それに西署内でやったのは今年が初めてだしね」
桜庭が横から口をはさんだ。
「そうなんですか?」
「うん、今までは別の場所を借りてた。今年はどこも都合が悪くて、ここにしたんだけど。やっぱりちょっと狭かったみたいね」
「でも用意は簡単でした」
と、これはコウ。
「ここの備品を使用すればよかったので」
おいおい、用意が簡単だったのはオレも手伝ったからだろ?
心の中で、オレはちょっとだけブーたれる。
「香澄も手伝ってくれたので」
そうそう、もちろんその辺りをちゃんと主張してくれないと。
「これで来年も楽になると思います」
そうそう来年も……って、来年もーっ!?
オレは慌ててコウの方に向き直ったが、コウの奴、わざと視線を合わせなかった。
「あの…来年…も?」
小さく呟いたら、コウはこちらを思いっきり真剣な目で見つめて言った。
「来年まで香澄が生きていて、僕とのパートナーを続行するならという前提付きだが…」
「えっ!? パートナーをって?」
「僕とのパートナーを解消した場合、もちろん手伝いなんてしてもらえないだろう?」
「ええっ!? パートナー解消? やだよ。やめてくれよ。解消なんてしないよっ。当たり前だろ。何言ってんだよ。縁起でもない」
「…ということだそうなので、来年も楽になると思います」
コウはくるりと桜庭さんの方を向くと、まじめ〜な顔をして、そう言った。
瞬間、桜庭さんがプッと吹き出す。
……どうやらオレは、コウにからかわれたらしい。
や…やるようになったじゃねえか。コウの奴。
解った。
そっちがそのつもりなら、来年もコウから絶対チョコをせしめてやる。
そしてせーだいにお返ししてやるから覚えとけよ。
オレはな、本命だけにお返しするの。
もっとずーっと大人になったら、おつきあいも考えて女子職員にお返しをばらまくのもアリだろうけど、当分はなっ。
そんで、冗談でも『解消』とか言えないくらい、がっちり本命キープしてやるぜ。
今回はどーも、お返し勝負に負けた気がするからな。
そりゃー、すげー気持ちはよかったけどさ。
黒羽には思いもよらなかったことだが、もともと勝負好きな白鳥は、すっかり闘争本能を燃え上がらせてしまった。
なぜ勝負? という謎はこちらに置いといて。
そういうわけで黒羽は、これから先、今までより一つ多く『お返し』騒ぎを抱えることになるのだった。
END
おまけのおまけ
ホワイトデーは日本の習慣です。
white day には、縁起のよい日、吉日という意味があります。
といっても、日本のホワイトデーは、特にその意味から来たというわけではないようです。
『白は純潔』のような、イメージ的なものからつけられた名前だという話です。
ホワイトデーの公式サイトはこちら。(^.^)
http://www.candy.or.jp/whiteday/
(さすがにボーイズラブのページからのリンクはなんなので、アドレスのみの表示です。(^_^;)
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